アクアフィリング豊胸。アクアフィリングは除去した方が良いのか?
- 2025年2月28日
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アクアフィリング豊胸は通常のヒアルロン酸豊胸と同じような扱いかつ、吸収が遅くもちが良く、生理食塩水で分解されるため、容易に除去も可能との触れ込みで使用された歴史があります。
アクアフィリングが吸収性、非吸収性のものであるかは議論もありますが、非吸収性のフィラーと考えて良さそうです。
バストの形や大きさを作るため注入してきた歴史を見ましょう。
最初は1900年前後とかなり昔です。その頃はワセリンやロウソクの原料などにも使用されるパラフィンなどの注入が行われましたが、合併症が多く使用が中止されました。現在でも医師免許のない違法な治療の一部としてニュースになることありますね。
日本でも1950年よりゲル状の注入シリコンが使用され、感染や変形、異物肉芽腫など多くの合併症が起こした歴史があり、その後はシリコンを袋で包んだシリコンバッグが使用されるようになりました。
アクアフィリングの成分は何でしょうか?アクアフィリングは2%のコポリアミドと98%の塩化ナトリウム溶液から構成され8〜10年で吸収される吸収性の充填材(Shin JH, Suh JS, Yang SG. Correcting shape and size using temporary filler after breast augmentation with silicone implants. Arch Aesthetic Plast Surg, 21(3):124‒126, 2015.)と記載がありましたが、韓国食品医薬品局(KFDA)によるとアクアフィリングの構成成分はポリアクリルアミドハイドロジェル(PAAG)と同様との報告があります。このPAAGは1990年代後半にウクライナと中国で開発された吸収されない充填材であり、体内での移動や、感染、難治性合併症をリスクがある充填材です。アクアフィリング(ロスデライン)以外にもアクアリフト(アクティブジェル)、アメージングジェル、アクアミドなどがPAAGに該当します。使用されるべきではない充填材です。アクリルアミドの発癌性は国際がん研究機関(IARC)ではGroup2A(Probably Carcinogenic)で発ガンの可能性が高いものとして分類されております。ポリアクリルアミドであれば発癌性はないとされていますが、体内での長期安定性のデータがないことやアクアフィリングと思われる充填材の除去後の内容分析では単量体のアクリルアミドが検出されている報告もあるため、可能性としては否定できないものとなります。
アクアフィリングの合併症、除去は海外だけでなく国内でも複数報告があります。授乳の際に乳腺炎をきっかけに感染症が起きたり、腹部や頸部、骨盤への移動や疼痛、変形などがあります。合併症が生じた場合には除去が必要となりますが、充填材は一塊になっていないケースも多く、完全な除去は困難です。
合併症の症状がない場合においてもアクアフィリングを除去すると、透明ではなく、黄色、混濁した粘稠生のある液体となっております。移動するということは周囲組織を障害していることになりますので、組織を溶かすと表現されている医師もいます。合併症の多くは数年経過してから多くなります。また体内での発癌性の可能性等を考えると、症状がなくても除去を検討する必要があります。
※当院で除去したアクアフィリング
アクアフィリング挿入後に除去を検討されている方は、是非ご相談ください。状況に応じて最適な治療方法をご提案いたします。